ソリューションリンク出版部/飲食店大進化論|料理がうまいだけではやっていけない 電子書籍版を発刊しました。

非接触経済,スタグフレーション,Web新時代,飲食店経営を考えた知恵本

コロナ禍も多くの国が終息宣言とともに経済の立て直しを急いでいます。日本も3回目の5月連休では行動制限されませんでした。しかしリベンジ消費で客足を期待した矢先に、飲食店は食材や燃料の価格高騰と、非接触による7割経済にプラスして景気悪化による売上減少に泣かされ、5G通信で進むオンラインとオフラインの融合に対処せざるを得なくなっています。

100年に一度というパンデミックから出現した今の経営環境はコロナ前と異なるものであり、飲食業が1970年の外食元年からの半世紀で得た運営ノウハウや成功体験を一気にひっくり返してしまいました。今までと同じ発想、同じ運営では飲食店を変容させることはできても、変化させることはできないでしょう。飲食業には小進化ではなく、大進化が求められているのです。

「飲食店大進化論」は、カスタマーサクセスのタッチモデルを背景に、人的接点であるハイタッチ戦略、場所接点であるロータッチ戦略、Web接点であるテックタッチ戦略を三本柱に、飲食店の具体的なビジネスモデル再構築についてを解説しました。
飲食店指導の経営コンサルタントとして、ヘーゲルの弁証法によるコロナ経済の解明に加え、ファン経済、パーパス経営、ジョブ理論、データドリブン経営など最近話題の経営用語についても、かみ砕いて説明しましたので、飲食店の裏側を知ることができるビジネス本としても楽しんでいただけます。

【書籍仕様】
石渡馨著/Amazon電子書籍/137頁/5月9日発売/Kindle価格1,250円(読み放題プラン会員0円設定有)

【ご照会先】
ソリューションリンク株式会社 担当:石渡馨
 TEL:070-3332-2857 Eメール:isiwata@solink.jp

【本文サンプル】
はじめに:コロナ禍が飲食店の何を変えたか

 新型コロナウイルスに対する感染不安が世界を大きく変えた。このウイルスそのものは弱毒なので死亡率の低い病原体なのだが、弱毒ゆえに感染しても自覚のない人が多く、長い潜伏期間と強力な感染力により蔓延しやすい性質がある。いつ感染するかわからない不気味さが日本人の潜在意識にすり込まれてしまったと言えよう。
 外食行動では安全要求が料理のコスパや店舗の利便性を上まわる重要事項になり、感染対策を集客のカギと考える飲食店は増えたし、ランチ外食や大宴会、公費接待などビジネス関連の需要が大幅に減少してしまった。ステイホームやリモートワークの促進によってオンライン社会への移行も急進してしまった。
 飲食店利用も職域圏から生活圏に、ビジネス層からファミリー層に、平日より土日祭に、ディナーからランチにといった具合に力点の移動が見られた。大勢での会食が忌避されるようになって来店組人数も少数化が進み、安全意識が女性のボッチ飯を後押しするなどで、購買力もニューノーマルラインの7割に縮小してしまったのである。

 コロナ禍以前のやり方が通用しなくなってしまったと感じている飲食店オーナーも多いのではないだろうか。進化論には小進化と大進化がある。小進化は同一種の中での変容であり、品種改良など同一線上のシリアルな進化を指す。大進化は種が異なってしまうほどの変化で、別系統が生まれて流れを変えてしまうパラレルな進化を指す。
 無接触による7割経済がオンライン化への流れを加速させている。政府の感染対策が経済対策に切り替わり、いよいよ店に活気が戻ってくると喜んだ矢先に、輸入物価高で水を差された格好になった。今までと同じ発想、同じやり方では飲食店を変容させることはできても変化させることはできないだろう。飲食業には大進化が求められているのである。

 コロナ経済でお客様の胃袋が小さくなったわけではない。外食業界の2021年市場規模はコロナ禍前の19年比で16.8%減、20年比で1.4%減と2年連続で縮小しており、居酒屋業態に至っては19年比72.8%減20年比で42.2%にまで落ち込んでいる。
 総じてテーブルサービスの飲食店が苦戦を強いられたわけだが、反対に食品を扱うスーパーマーケット業界は2年連続で売上を伸ばし、21年は過去10年で最高の売上をマークした事実がある。しかも一部の大手チェーンはスーパーマーケットの中でレストランを営業するグローサラントを導入し、内食と中食の商いから外食へと領域拡大する動きを見せている。
 グローサラントはグロサリーとレストランを組み合わせた造語で、コロナ禍によって欧米を中心に増え続けている業態だ。特徴は食品売場で購入した食材の調理や、売場に陳列されている食材を使って料理するところにある。

 食ビジネスは業種の垣根があいまいになりつつある。飲食、物販という業種分類からビジネスを考えていては時代に取り残されかねない。お客様の胃袋をがっちりつかむために何が必要なのかから出発し、後から飲食なり物販なりの提供手段を考えるべきだろう。その上で手持ちの経営資源をうまく活用し、少ない売上でも利益の出る財務体質に改善しなければならない。
 抜本的な事業再構築は、大前提として果たすべき役割の確認から出発するべきだと考えている。飲食店は「お客様に食事を提供する」ショップビジネスから「お客様と食事を結びつける」ソリューションビジネスに脱皮する必要があり、実現にはキッチンの見直し強化がカギになる。調理人が作りなれている料理に固執するのではなく、お客様が抱える課題は何かに目を向け、飲食店が果たすべきビジネスの本質を追求しなければならない。

 キッチン部門は求められる料理に特化し、リアル店舗を飛び出て「提供場所の拡大」を目指す。能力を効率よく最大発揮できる展開ができるのであれば自店での料理提供は外してかまわない。客席は数ある販売先のひとつにすぎないからである。料理の販売先はロータッチ(場所接点)である自店販売とテックタッチ(Web接点)であるネット通販を組み合わせて、最も効率のよい売り方を選択する。
 ホール部門はコロナ経済により来店客が減少する前提で活路を見出さなければならない。できたての料理を食べさせられるのは強みだが、それ以上にハイタッチ(人的接点)である料飲接客は飲食店の華であり、リアルなおもてなしには価値があるから、サービス力に特化して「提供場所(自店)の最大活用」を目指す。客席で提供する“おもてなし”の魅力を最大限引き出すのである。
「おもてなし」や「ホスピタリティ」は飲食業で当たり前のように使われている言葉だが、核となっている“心”があいまいで捉えどころないために言葉遊びになったり、失敗を言い訳する際の免罪符に使われてきた面も否定できない。
 今を置いて「おもてなし」を見直すチャンスはないのではないか。リモート生活に飽き飽きして、ふれあい欲求が高まる中では強力な飲食店の武器になる。プロのサービス集団を目指すからには店外から料飲調達するぐらいの気構えがあってもよく、行かなければできない食事体験の提供場所を作り込む。店に来なくても食べられる料理を、わざわざ店に足を運んでまで食べたいと思わせる魅力づくりが仕事になるだろう。

各章の概要は次の通りである。
 PART1は人による接点であるハイタッチ戦略として、主力のイートインを取り上げた。外食元年の1970年からこれまでの社会背景と飲食業の変遷をふり返り、コロナショックの次はスタグフレーションという経営環境では、飲食店の存在理由をあらためて問い直す必要のあることを説明した。「調理する側からのプロダクトアウトから食事する側からのカスタマーアウトへ」発想転換の必要性と「食のものづくりから食のよりそいへ」「食事を提供するから食事を結びつけるへ」ビジネス転換の必要性を訴えている。
 飲食店はいかに付加価値を確保するかが重要になるとの認識から、パーパスドリブン客確保の重要性やファン化の進め方に論を進め、サブスクなど収益モデルの説明から「売り切りモデル」ではない売価設定の考え方、安心安全な店づくりが重要課題になっていることからコロナ禍がひと段落した後の衛生管理についても考察した。

 PART2はロータッチ戦略として店舗を活用したビジネス展開のしかたを取り上げた。具体的にはテイクアウトやデリバリーが中心になる。イートインに頼らないための重要な収入源として新規事業を検討する際に役立つように、コロナ禍で客足が途絶えた時期に他店が何をしたかをレポートし、「待ちの商売」である飲食業が注文客に営業をかける「攻めの商売」に参入する場合の着眼点と運用ノウハウの解説に努めた。
 そのうえで先が見えない不確実な時代には、地図は役に立たずコンパスが必要になると考えて、売上減を前提とした事業計画のつくり方や新規事業を立案する場合に使えるフレームワークを説明し、事業アイデアを具体化する手段としてのリーンスタートアップと、続く事業化の手順を案内した。

 PART3はデジタル接点のテックタッチ戦略としてインターネットを取り上げた。コロナ禍以前はデジタル化の重要性を認識しながらも消極的な店が多かった飲食業も、コロナ禍でオンライン消費への抵抗感がうすれてくると時代の波に合わせる必要が出てきた。5G通信が可能にしたWeb3.0は産業革命に匹敵する。デジタル領域でのバーチャルな空中戦とリアル店舗でのフィジカルな地上戦をどう組み合わせて戦うかが経営課題であり、飲食店とて例外ではない。
 インターネットが発展してきた経緯からオンラインとオフラインの融合にいたる背景を探り、緊急事態宣言によって他店が何をしたかをレポートすることで、飲食店でのネット活用が具体的なイメージになるように努めた。そのうえで店内飲食のスモール化やデジタル化に触れ、データドリブン経営への取り組み方を実務視点で解説している。

 本書によってコロナ禍で疲弊した飲食店が未来戦略のヒントを得て、円安によるコストプッシュ型のハイパーインフレと低水準賃金を背景とした景気停滞の同時進行というダブルパンチをかいくぐるきっかけになることができれば、この上ない喜びである。

リリース元:ソリューションリンク出版部
URL:http://solutionlink.jimdofree.com


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