TWEAKERS RACING/77年前のハーレーダビッドソンで日本人がボンネビルの世界最高速記録を4クラス樹立

2023年8月5日~11日にアメリカ、ユタ州で開催された ボンネビルスピードウィークにてヴィンテージバイクを対象とした 4クラスでレコードブレイクを達成。

TWEAKERS RACING(アパレルメーカー FREEWHEELERS 代表 安井篤をキャプテンとして結成され、THE VINTAGE SPEED SHOP JAPANの坂本祥治、安井の車両のメカニックを務めるGREASE STAINS 宮崎弘恭、クルーチーフとして DUSTERS RACING の MIKE POOLEが参加)が 世界記録に挑戦。

二台のヴィンテージハーレーダビッドソン、ナックルヘッドを一からチューンナップし日本からアメリカに送った。世界最高峰のスピード競技といわれるランドスピードレース、アメリカのユタ州にあるボンネビルソルトフラッツで毎年8月に開催されるS.C.T.A主催の BONNEVILLE SPEED WEEKにて4クラスものワールドレコードを更新した。

ランドスピードレースで世界一への挑戦
TWEAKERS RACINGがランドスピードレースで世界記録を樹立したのは決して簡単なことではなかった。これまで数々の国内外の草レースには参戦経験があるものの、ランドスピードレースはよりプロフェッショナルなレースである。それはスピードが高速域に達するための安全性を考慮した厳しいレギュレーションが50を超えるクラスごとに設けられており、それらをインスペクション(車検)でパスしなければレースには参加できない。車両製作は300ページにも及ぶ英語のルールブックの解読から始まった。クルーチーフを努めるアメリカ人のマイク・プールと共に疑問点を洗い出し、幾度となく主催のS.C.T.A(サウザン・カリフォルニア・タイミング・アソシエーション)に連絡を取り、一つずつ潰していった。ある程度ルールを理解できた事で二台のハーレーの参加クラスを決めて、ようやく車両作りを始められた。選んだ参加クラスはヴィンテージクラス。ルールでは1955年までのヴィンテージエンジンに現行の高性能キャブレターの使用が認められているのだが、二台の車両には車両発売当時(1946年)と同じキャブレターを使用した。スピードを競うレースには当然現行のキャブレターが有利なのだが、あえて古いキャブレターを選んだのは75年の歴史のあるボンネビルスピードウィークで先人が命をかけて樹立した世界記録へのリスペクトである。その先人らと同じものを使いレースをしてこそ価値があるという考えからだ。各自それぞれの本業がある中で、時間を割いて計画を進め、構想から車両完成まで約二年を要した。車両は完成したものの日本国内にはテスト走行できる場所もあるわけものく、目標としている2022年8月のボンネビルに参加する為ほぼテストもしないまま車両を開催地であるアメリカに送った。

2022年8月、二台のハーレー・ナックルヘッドは無事にアメリカのカリフォルニアに入国でき、チームクルーはバイクと共に聖地ボンネビル・ソルトフラッツへ向かった。LAから約800マイルのドライブで遂に夢にまで見たボンネビルの塩の上に立つことができた。ピットを設営し、翌日のインスペクションも綿密な準備のお陰で難なくクリアした。これで明日からレースができると喜びに包まれていた矢先に夕方から雨が降り続き、ソルトフラッツは水浸しになり塩湖に姿を変えてしまった。当然レースはキャンセルされた。自然相手とはいえここまで来て、とチーム全員が落胆し口を閉ざした。

しかし、今までの苦労を考えるとここで諦める訳にはいかない。もう一つの目標であるエルミラージュ・スピードトライアルにシフトした。エルミラージュ・ドライレイクで行われているランドスピードレースは同じくS.C.T.Aが主催し年間に6回(5月,6月,7月,9月,10月,11月)開催されている。ボンネビルが塩の路面に対しこちらは泥が固まった土の路面になる。複数のローカルのカークラブが主体でこちらは更に歴史があるランドスピードレースである。残りのレースに参戦すべく9月,10月,11月と渡米するも、悪天候でドライレイクに水が溜まりすべてのレースがキャンセルとなった。車両をアメリカから持ち出す期限が1年以内なので、結局この年は一度もレースをすることなく日本に送り返すことになった。地球温暖化の影響かは分からないがなんとも不運である。

2023年、再度挑戦をするべく、二台のバイクをアメリカに送った。一度もレースができなかった2022年のスタートラインに立つ難しさを教訓に5月のエルミラージュから参戦した。この時にやっとレースが開催され二台のレースバイクが初めてスタートラインに立つことができた。二日間のレース日程の初日、久しぶりのランドスピードの開催で参加者が多く一走行しかできなかったが手応えを感じ、二日目のレコードブレイクを目指し夜な夜なバイクの調整に明け暮れた。レース二日目、早朝に出発準備をしている時、昨夜ストームに襲われ雨が振りドライレイクは浸水し、レースが中止になったことを知った。またか、という感じで残念でしかなかった。

何が何でもレコードブレイクを目指し6月も渡米を計画したがレース10日前にキャンセルのインフォメーションが流れた
ここまで来ると根比べになり、すぐ次の7月の航空券を手配した。迎えた7月10日のエルミラージュはレイクベッドが乾き開催されそうなのでアメリカに飛び、到着後にバイクの調整を済ませ前日のインスペクションをパスした。翌日レース当日、何度もレース中止を経験していたメンバー皆がこの一本が最初で最後になるかもという気持ちで臨んだ。
先にスタートした安井篤が見事一本目でレコードブレイクを成し遂げた。AVG1650クラスで144.598mphを記録した。

続いて次にスタートした坂本祥治もMVG1350クラスで134.341mphで世界記録を叩き出さた。ハーレーナックルヘッドのメーカー発表の最高速は95mphに対し二台ともこれを遥かに上回るスピードだった。チームは歓喜に湧いた。

この勢いで8月のボンネビルに向かった。レース開催2日前に到着したがソルトフラッツの天候は雨で、またしてもソルトフラッツは水浸しだった。主催者は天気予報ではその後は晴れるので数日後遅れての開催を目指し水が引けるのを待った。その間、別な場所でインスペクションを行い3日後にピット設営、4日後にレース開催のアナウンスがされた。

我々は安堵し、ピット設営のため現地へ向かったのだが水はまだ引けておらずピットエリアも水浸しの状態だった。しかしコース上は塩が湿っていたものの、水が引けていてレースが出来そうに見えた。翌日早朝現地に着くと、前日より水が増えていてコースも昨日より浸水していた。ロングコースは姿を消し、ショートコースもかなり無くなっていた。それを目の当たりにして皆気落ちしたのだが、数時間後に嬉しい知らせが届いた。ショートコースの浸水していない部分を使い3マイル設定でレースを開催することになったのだ。

開会式が開かれアメリカ国歌斉唱を聞きながら遂にこの時が来たと嬉しく思った。コースコンディションが悪いにもかかわらず、多くのレーサーで一本しかないコースラインは長蛇の列となった。レースの状況が無線とラジオで流れるのを聞きながら自分の番を待った。レーサー達は湿ったコースに苦戦し、なかなか良い結果が出ていない。

そんな中、坂本祥治の出番が来た。初のボンネビルで緊張しながらも、信頼するクルー達がバイクのチェックをしていよいよスタートをきった。ゴール地点に迎えに行くチェースカーの無線から朗報が聞こえた。”コングラッチレーションズ、Mr.SAKAMOTO”レコードブレイクしたのだ。リターンランでも記録を出し、無事にMVF1350クラスで133.602MPHの新世界記録を獲得した。

翌日、安井篤も快挙を見せた。前日の走行データを元に宮崎弘恭と調整を重ねAVF1650クラス143.746mphでレコードブレイクを成し遂げた。エルミラージュに続き、二回目の二台同時で世界記録を更新した。そして安井篤の快進撃はこれだけでは終わらなかった。同じバイクでクラス変更をしAVG1650 143.721mphでレコードブレイク、その後更にクラス変更をしてAPSVG1650 145.131mphでレコードブレイクと終わってみれば3つもの世界記録を更新した。TWEAKERS RACINGチーム合計4つの世界新記録を獲得したのだ。
この結果はチーム一丸となり勝ち取った世界記録です。この経験は我々の人生のおいて最高の宝物です。何事も諦めなければ成功できる事を証明できました。

TWEAKERS RACING

チームキャプテン・ライダー 安井篤 /東京都在住
FREEWHEELERS AND COMPANY
https://freewheelers.co.jp/

メカニック・ライダー 坂本祥治 /青森県在住
THE VINTAGE SPEED SHOP JAPAN
https://thevintagespeedshopjapan.com/

メカニック 宮崎弘恭 /東京都在住
GREASE STAINS
http://greasestains.tokyo/

クルーチーフ MIKE POOLE /青森県在住
DUSTERS RACING CLUB
https://ystat2.wixsite.com/dusters

ランドスピードレース・ボンネビルスピードウィークとは?

ランドスピードレースとは陸上で最高速を競うレース。固定の長さのコースでの速度として定義されている。
今年で75周年を迎えた”BONNEVILLE SPEED WEEK”は世界数カ所で開催されているランドスピードレースの一つ。主催するのが古くからカリフォルニアのエルミラージュドライレイクでもランドスピードレースを開催している歴史ある団体 S.C.T.A (SOUTHERN CALIFOLNIA TIMING ASSOCIATION)。ユタ州の夏だけ広大な塩湖が干上がり塩の路面が出没する ボンネビル・ソルトフラッツで8月の一週間にわたり開催される。大手メーカーから個人レーサーまで世界中のスピード狂が集まり最高速を競うレース。厳格なクラス分けがされており、各クラスごとの世界記録更新を競っている。自然が舞台の為、路面状況はその年によって変化する、また標高1300メートルと高地ゆえに空燃比設定が難しいのに加え気温が40℃を超える日々が続き、かなり過酷な環境でのチャレンジになる。

S.C.T.A(SOUTHERN CALIFOLNIA TIMING ASSOCIATION)
https://scta-bni.org/

リリース元:TWEAKERS RACING
URL:https://thevintagespeedshopjapan.com/2023/09/17/


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